■■年金裁定請求のサポート
国民年金や厚生年金を受け取ることは法律に守られた権利ですが、年金事務所に「請求」をしなければ受け取ることができません。
個人が年金事務所に出向き手続をするのが一般的ですが、平日に年金事務所に出向くことができなかったり、書類を揃えるための十分な時間が取れないような場合に、書類の作成サポートと提出代行を行います。
受給権を得るための難易度が非常に高いものについては要相談となります。
年金の制度と流れのご紹介
各種年金についての簡単な制度説明のコーナーです。例外の要件や、個人の状況や過去の加入状況によって受給権獲得までの道のりは様々です。自分の場合は?と疑問に思ったら、年金事務所や社労士にご相談ください。
老齢年金
原則要件
基本要件
老齢基礎年金は、10年以上の受給資格期間(免除期間含む)がある方が、65歳から受給できます。このとき、厚生年金の加入期間が1ヶ月でもあれば、老齢基礎年金の受給要件を満たした場合に、老齢厚生年金も受給することができます。
加給年金と振替加算
配偶者の加給年金を受けていた厚生年金の受給権者は、配偶者が65歳になると加給年金が打ち切られますが、その代わりに今度は65歳になった配偶者の老齢基礎年金に、生年月日に応じた一定額の振替加算が行われます。
繰上げと繰下げ
60歳以上65歳未満で、10年以上の受給資格期間を満たしていれば、老齢基礎年金と老齢厚生年金を同時に繰上げ(早くもらう)請求することができます。
老齢基礎年金の受給権を有していても66歳に達する前までに請求をしていなければ、繰下げ(後でもらう)請求することができます。繰下げ請求は、老齢厚生年金と同時に行う必要はありません。
手続き
過去の年金加入記録が記載されているので、誤りがないか確認し、記載すべき項目を順番に埋めていきましょう。
添付書類も準備しましょう!マイナンバーが分かれば、省略できる書類もあります。
老齢基礎年金だけの人は、市町村役場へ。老齢厚生年金ももらえる人と第3号被保険者の人は、年金事務所へ。
年金を受けられるようになったときから5年を過ぎると、5年を過ぎた分の年金については時効により受け取れなくなる場合があります!
無事に裁定されたら、偶数月の毎月15日に前2ヶ月分が受け取れます。
・65歳未満の方が老齢年金をもらいながら、雇用保険の失業給付または高年齢雇用継続給付をもらうときには併給調整されますので届出が必要です!
・厚生年金の被保険者として働きながら年金をもらう場合は、在職老齢年金制度の仕組みにより年金が減額されることがあります。
障害年金
原則要件
初診日
障害の原因となった疾病または負傷について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日が「初診日」です。このとき被保険者であることが必要です。基礎年金の場合は、過去に被保険者であった国内居住の60歳以上65歳未満の方も含みます。
障害認定日
初診日から起算して1年6ヶ月を経過した日、または、1年6ヶ月以内に傷病が治った(症状が固定した)場合はその日を「障害認定日」とします。
この認定日において、障害等級に該当する程度の障害の状態にあることが必要です。
保険料納付要件
初診日の属する月の前々月までに被保険者期間がある場合、その期間の保険料未納期間が3分の1以下である必要があります。
初診日が令和8年4月1日前で、当時65歳未満だった方の場合は、初診日の属する月の前々月までの1年間に保険料の未納がないことが必要です。
手続き
3要件を満たしているかどうか事前にしっかり確認し、添付書類を準備しましょう。
添付書類の中には、診断書など医師に作成を依頼するものもあります。受け取りまで時間がかかることもありますので、早めに依頼しておくと良いでしょう。
初診日において、どの被保険者の種別であったかによって手続き先が異なるので、当時の加入状況を確認してから手続き先に行きましょう。
異なる支給事由の年金給付は併給されないのが原則ですが、65歳以上で老齢年金を受けられるようになった場合は、障害基礎年金と老齢厚生年金の組み合わせであれば、異なる支給事由の年金が支給されます。(選択制)
無事に裁定されたら、偶数月の毎月15日に前2ヶ月分が受け取れます。
障害の程度が増進した場合は、一定の要件のもと年金額の改定の請求をすることができます。
遺族年金
原則要件
(保険料納付要件あり※障害年金の「初診日」を「死亡日」と読み替える) 短期要件
基礎年金…被保険者の死亡(過去に被保険者であった国内居住の60歳以上65歳未満の方を含む)
厚生年金…被保険者の死亡(被保険者資格を喪失した後に、被保険者期間中の傷病の初診日から起算して5年を経過する日前に死亡した方を含む)、1級または2級の障害厚生年金の受給権者の死亡
(保険料納付要件なし) 長期要件
老齢年金の受給権者(保険料納付済期間と免除期間を合算した期間が25年以上あること)の死亡。
または、25年要件を満たしている受給権者ではない方の死亡。
(年齢等要件あり) 遺族の範囲
基礎年金…被保険者の法律上の子、またはその子と生計を同じくする配偶者。
厚生年金…被保険者によって生計を維持していた、配偶者、子、父母、孫、祖父母。
手続き
亡くなった人の加入が国民年金だけの場合は、市町村役場へ。厚生年金の人と第3号被保険者の人は、年金事務所へ。
死亡の原因が第三者行為によるものである場合は、損害賠償請求権との調整のため別途必要書類があります。
無事に裁定されたら、偶数月の毎月15日に前2ヶ月分が受け取れます。
亡くなった人がもらえるはずだった年金(未支給の年金)がある場合は、三親等内の親族が代わりに受け取ることができます。併せて申請をしましょう。
年金分割
原則要件
合意分割
離婚等をした当事者間で、婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を一定の按分割合で分割する制度です。通常は、正社員等で働いた夫側の記録を減額し、正社員やパートで働いていた妻側の記録に増額するイメージです。
3号分割
厚生年金の被保険者である者から、国民年金の第3号被保険者(被扶養配偶者)に該当していた者に、婚姻期間中の厚生年金記録を2分の1に分割して改定する制度です。通常は、働く夫側の記録を2分の1に分割し、主婦の妻側のものとして改定するイメージです。
時効
離婚等をしたときから2年以内に手続きをしなければいけません。
手続き
3号分割は合意がなくても手続きできますが、できれば事前に話し合っておいた方が良いでしょう。
合意分割の場合は、年金事務所に依頼して「年金分割情報通知書」をもらい、それをもとにどれくらいの割合で分割するか話し合って双方が合意する必要があります。
合意分割の場合は、当事者2名で手続きをします。公正証書等がある場合または公証人の認証を受けている場合は請求者1名で手続きができます。
請求があった日から将来に向かってのみ効力を有することになるので、過去に遡って受給権が発生したり年金額が改定されることはありません。